去年(2019年)の現像液選びは「安全第一」「節約」がキーワードだったが、今年(2020年)は「増感現像」を前提に選んでみた。
中判カメラはフルサイズ(35㎜)と比べて、被写界深度がより浅く、ピント合わせがさらにシビアになるので、絞りこんで撮影したい時、フィルムのISO感度は決まっているので、絞り込むとどうなるかというとシャッタースピードを遅くせざるを得ない。被写体によってはやや暗い場所での撮影が少なくなく、増感現像(Push Processing) も検討したことがあったが、増感現像には粒状性が悪化する、コントラストが高くなるデメリットがあり、これまで見送ってきた。しかし、あらためて今回調べてみると、いくつかの現像液はプッシュしても仕上がりがいいようなので、試しに購入してみた。
シルバーソルトさんから出来れば水道水ではなく蒸留水の使用を勧められたので早速調べてみると、蒸留水などは開封後の長期保存がきかず、速やかに使い切る必要があるのと現像タンクの容量が約500mlである点から500ml入りペットボトルをセットで24本通販購入。ちなみに蒸留水・精製水が入手できない場合は、水道水でも構わないが、ミネラルウォーターや沸騰させたお湯の使用は推奨しないとのことでした。
例えばTMAX400フィルムをISO1600で増感現像する場合、1+19/zという計算式に合わせて調合しなければいけない。1+19で500mlの現像液を作る場合は、現像液を1(25ml)に蒸留水19(475ml)の割合にするが、Zは、B液はA液の2倍の容量にするというルールがあるので、A液25ml B液50ml 蒸留水 425ml、しかもA液とB液は直接混合せず、A液、B液をそれぞれ水に溶かしたうえで、最後に水を既定量に合わせる必要がある。
シュプール製プッシュ現像液の中でも対応フィルム数の多さが決め手とな500mlを購入した。マニュアルに掲載されているフィルムの中でもより良好な結果が得られるというコダック Tri-X 400とイルフォード HP5 Plusで使ってみたい。